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レーザーパワーと加工品質の関係について  その③

株式会社リンシュンドウのスタッフの岡本です
前回の「レーザーパワーと加工品質の関係について  その②」の続きです。

今まで①と②の確認で以下の点がわかっています。

・ 深く加工しようとすると、焦点距離から離れてしまうため、レーザー出力と加工速度は比例関係ではない
・ レーザー出力設定値[%]と、実際のレーザー出力値[w]は一致しない
・ 焦点距離を無視できならば、実際のレーザー出力値[w]と加工速度は比例関係にある

 


根本的に話としては、焦点距離の影響や、レーザー出力の設定値[%]では本当のレーザー出力値[w]が不明であるという事実があるものの、加工速度とレーザー出力[w]を等比で変更すれば、彫りの深さ(加工素材に作用する力)は同じである、といえます。

では次に、加工の深さではなく、加工仕上がりについて考えます。

理想的な話をすれば、加工は常に最高出力が得られる出力設定に固定しておいて、要求される加工内容にあわせて加工速度を調整する、ということになります。なぜならば、それが最も加工時間が短くできるからです。
もちろん、薄手の素材を切断したり、浅い彫刻が必要な場合は、逆に出力を下げる必要が出てきますが、いずれにせよ、「出来るだけ加工時間」を短くできることを最優先して設定値を決めることになります。

しかし現実には、彫りの深さだけではない、加工品質に影響する要素があります。つまり彫りの深さ以外の、加工速度やレーザー出力の上昇を制限する要因があります。

その③では、その要因を検証します。



① 細かいデータの切断加工


タイミングベルトでレーザーヘッドを移動させる機種は、機体サイズの大小に関わりなく、ある程度以上の速度で切断加工すると、たわみによってコーナーでダンピング(バックラッシュ)が発生します。
これは移動方向の変化が頻繁で細かいデータで顕著になります。

二層のABS板に薄く、速度を変えて、「切断モード」でマーキングします。彫りの深さは関係なく、純粋に゛「切断モード」でのレーザー照射の軌跡を確認します。

データはLaserCutで使用可能な線文字で、「12345467890」です。
各文字の高さは4mmです。



この文字列データを加工速度を変化させて加工し、仕上がりを確認します。
加工速度は10[mm/s]を最低値として、5[mm/s]刻みで変化させます。
レーザー出力値は、各速度で同じ程度の彫りの深さになるように調整しています。






結果

下の画像のようになりました。



結果を見ると、速度設定が10、15[mm/s]の時はデータ通りの加工になっていますが、20[mm/s]以上になるとふにゃふにゃし始めます。

35[mm/s]以上になると、ふにゃふにゃした状態でほとんど変化はなくなり、同じように見えます。
これは、直線移動の距離が短いために、35[mm/s]以上になると、加速から定常速度(設定速度)まで至らずに減速してしまうため、仕上がりが同じになると考えられます。実際に、加工時間を測定すると、35[mm/s]以上の設定では、どれだけ速度を上げても、加工時間を変化しません。


結論としては一目瞭然ですが、「切断加工の場合、速度を上げすぎると、移動の向きが変わると形が崩れる」となります。


ただしこれは、データ内容によります。上記では高さ4mmの線文字を使用したので、長さ1mm以下の直線が連続的に向きを変えて加工されており、細微なデータ内容といえます。


たとえば、円形のような曲線の場合は、形が崩れにくいです。

下の画像は、速度が10[mm/s]と50[mm./s]の場合の円形です。一番内側がφ5で、直径をmmずつ大きくしたデータを加工したものです。最も外側がφ50です。

速度設定 : 10[mm/s]



速度設定 : 50[mm/s]



一見、速度設定 が 50[mm/s]でも、10[mm/s]と変わりなく真円に加工されています。

しかしよく見ると、50[mm/s]の場合は、一部ふにゃふにゃしています。
これは、各円の加工開始-終了位置です。別の丸を加工後にこの位置にレーザーヘッドが移動して加工を開始するため、形状変化が発生すると思われます。

速度設定 : 50[mm/s]の部分拡大


円の加工は反時計回転方向です。


速度設定が10[mm/s]の場合は、同じ位置に変形はありません。



この検証から、切断加工の場合は、たとえレーザーパワーを上げても、それに応じて加工速度を上げて加工時間を短縮することはできない場合があることがわかりました。
もちろん、もっと遅い速度、たとえば1[mm/s]で切断していたものを、レーザーパワーを上げて、2[mm/s]で加工する、というのは今回の検証では問題になりません。
また、要求加工品質によって、細部は多少粗くても問題ないような加工は、速度を上げて加工すればいいと思います。





② ゴム印



「ゴム印」と銘打っていますが、ゴム印に限りません。彫刻したあとに、削りかす(燃えかす)や粉が残るもの全般にいえることです。
木材や樹脂などの粉が付着しないものは関係ありません。アクリル(キャスト)も加工面に薄く粉が付着しますが、問題ありません。ゴム板のように粉じんが発生するものを対照にします。

60W機でゴム印を作る場合、速度は100~150[mm/s]程度です。この速度では問題ありません。たとえば150W機を使用して、400[mm/s]程度で彫ると、うまく彫れなくなります。

ブログ②で使用したGS1490-130W (実測120W 弱程度の出力)の機体を使用して比較します。ブログ②で測定したように、出力設定が30%の時と95%の時がおおよそ2倍のレーザー出力になるので、それにあわせて、以下の条件でゴム板を彫り比較します。
加工モードは、傾斜彫刻です。走査間隔 0.025[mm]、傾斜幅 0.5[mm]、リペア感度 10 のゴム印の標準的な設定で行います。

① レーザー出力 30[%] 最小出力 12.5[%]  スピード 150[mm/s]
② レーザー出力 95[%] 最小出力 12.8[%]  スピード 300[mm/s]

※ 最小出力はゴム印としての仕上がりを見て調整しました。




結果

印面は「http://www.laser-machine.com」です。フォントのサイズ2.5mmの高さです。実際の文字高さは2mm前後になります。ゴム印としては小さいサイズの字です。



上の印面がスピード 150[mm/s]、下がスピード 300[mm/s]です。



彫りの深さは同じです。
150[mm/s]の場合は、彫刻面がなめらかですが、300[mm/s]はでこぼこしています。

着目点は下の青線で囲った4カ所です。彫刻面が盛り上がっているのがわかります。写真でははっきりわかりませんが、他にも細かいところで盛り上がっています。



水洗い前の画像と照らし合わせてみてもわかりますが、やはり盛り上がっていて、深く彫れていません。



もしかしたら、レーザー出力の一時的な変動で発生した可能性もあるため、もう一度同じ加工を行って確認しました。



2回目も1回目と同じ仕上がりです。


原因は明白で、スピードを上げると、削りかす(粉)がエアーで吹き飛ばされずに隙間にたまってしまい、それが彫刻面をでこぼこにさせる原因です。

これは彫刻の深さと密接に関係していて、彫りが深くなるほど、削りかす(粉)が多く発生し、また、それらが吹き飛ばされるのを妨げることになります。

今回は120W程度の機体で行っているのでできませんが、150W機を使用して、加工速度を同じ300[mm/s]で加工すれば、より深く彫れ、凹凸が顕著になります。またスピードを上げて400[mm/w]で加工すれば、やはり、凹凸がひどくなります。


また、ゴム印とは別の、削りかす(粉)が発生するものとして、牛角印材があります。



これも、出力とスピードを上げると、適切に彫れなくなります。



結論としては、削りかす(粉)が発生する加工素材は、その影響によって、彫刻スピードを上げられない場合がある、ということになります。
ただ、この削りかす(粉)の問題は、吹きだまりの発生が様々な要因で変化するため、一概にどのような加工設定で発生するか予測できません。現状わかっている吹きだまりの発生を左右する要因は以下の通りです。

・エアーの状況 : レーザー照射口から消炎エアーが吹き付けられますが、完全に垂直ではなく、また、エアーコンプレッサーの状態、エアーホースの経路などにより、風量も変化します。エアーの状態により、吹きだまりの発生状況が変化します。

・レーザー光路 : レーザー照射光で照射されるレーザー光は理想的には垂直ですが、若干傾いている場合もあります。この微妙な傾きの差異は、加工素材のレーザースポットの位置が変化することを意味します。
調査をした結果、上記の「エアーの状況」とレーザースポットの位置の兼ね合いによって、吹きだまり状況が変化することがわかっています。

以上の2点と、レーザー出力設定値が実際のレーザー出力と異なっているという点から、異なるレーザー加工機機体で、同一加工設定・同一素材・同一データで加工しても、同じ結果にはならないと考えられます。

もちろんな、データ内容・加工設定によっても吹きだまりは変化します。




まとめ



「加工設定のスピードを2倍にした場合、出力も2倍にすれば仕上がりは同じことですか?」の答えですが、

理論的には(彫りの深さは)同じです。
しかし、加工設定値と実際のレーザー出力値は乖離しており、また、加工状況によって仕上がりが異なる場合があるので、実機で試し彫りを行って、要求加工品質を満たす加工設定を決める必要があります。
加工設定の数値から単純に比率で計算して設定値を決めても、思ったような加工結果にならない場合があります。

です。


より厚い素材を切断する、あるいは、より深く彫刻するために、高出力のレーザー加工機にリプレイスするというのは理に適っています。
しかし、加工時間の短縮を意図して、高出力レーザー機に乗り換えるのは、事前に検討が必要です。




追記

お客様から、〇mm厚の〇〇という素材を切断する加工設定を教えてください、〇〇という素材を〇mmぐらいの深さで彫刻する場足の加工設定を教えてください、という質問がよくありますが、これらは答えるのが困難です。

取扱説明書にも「目安」として素材ごとの設定表を掲載していますが、「この設定でとりあえず試し加工してみて、仕上がりを見て調整してください」程度のものでしかありません。

取扱説明書の設定表の数値で適切に加工できなかったから機体に問題がある、ということにはなりません。

今回は「レーザーパワーと加工品質の関係について」でしたが、他にも加工品質に影響を与える要素はあり、とくに、焦点レンズ、反射鏡の汚れというのは、彫りの深さに直結します。

加工設定は、お客様が使用する機体・加工素材・データで、実際に試し加工を行い、決定することが必要です。

その中で、速度を上げると、仕上がりが汚くなる場合があります。思っているよりも深く彫れない、切断できない、ということもあります。出力と速度のバランスを取って適切な加工設定を見つけることが重要です。




これで、「レーザーパワーと加工品質の関係について」シリーズは終了です。






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レーザーパワーと加工品質の関係について  その②

株式会社リンシュンドウのスタッフの岡本です
前回の「レーザーパワーと加工品質の関係について  その①」の続きです。

前回のテストでは、たとえレーザー出力を上げていっても、焦点距離の影響によって、どこまでも彫りが深くなるわけではない、ということがわかりました。
これは、たとえば、2倍のレーザー出力の機種にリプレイスしたからといって、今までの2倍の厚みの加工素材が(同じ速度で)切断できるようになるわけではない、ということを示しています(速度を下げれば、加工できると思います)。


それでは次に、深さは同じでいいので、加工時間を短くするために、よりハイパワーのレーザーのレーザー加工機へのリプレイスは有効か、ということを検討します。

つまり、出力と加工速度をともに n倍にしたとき、彫りの深さは同じか? という問いと同義となります。

たとえば、40W 定格のレーザー加工機を使用して、出力90[%]、スピード100[mm/s]の設定で適切な加工結果が得られていたとき、80W定格のレーザー加工機に変更すれば、出力90[%]、スピード200[mm/s] (既存機の2倍の速度)で加工し、加工時間を短くすることができるか、という意味になります。

本ブログでは、1台の機体で出力を変更して、上記の問いを確認します。複数のレーザー出力の異なるレーザー加工機を比較した場合、機体、反射鏡、レンズ、そしてレーザー管のコンディションにより、レーザーパワー以外の条件が加わり、正しい比較ができない可能性があります。そのため、1台のレーザー加工機でレーザー出力と加工速度の関連性を確認します。

使用する機体はGS1490-130Wです(130W機は、標準機としてはラインナップされていません)。
弊社にて様々な用途に日々使用している機体です。レーザー管は2012年製でかなり古いものです。



① 速度と出力を等比で変更した場合の彫り上がり確認



下記のように等比で速度と出力を変更して彫刻加工をした場合の彫りの深さを確認します。
彫刻するのは、10mm角の四角形です。素材はアクリル板、走査間隔は0.025[mm]で統一しています。
変更点は、加工設定の速度と出力のみです。



出力と加工速度をともに n倍にしたとき、彫りの深さが同じであれば、彫刻したものは同一物になります。




結果

加工直後




水洗い後




速度と出力の設定を等比で変化させた場合、同じ深さにはなりません。



考察

「速度と出力の設定を等比で変化させた場合、同じ深さにはならない」という結果について、その理由を確認します。

理論的に考えれば、速度と出力を等比で変更した場合、同じ深さになるはずです。

まず、加工速度の変化によって、エアーの当たり具合が変化して深さが変わった、という推察ができます。確かに経験上、エアーの当たり具合で彫りが変化することはありますが、それにしては深さの変化量が大きすぎます。
エアーが原因ならば、このテストがいったい何を確認するためにやっているのかわからなくなってしまいます。

この三つの四角形の深さの違いの理由が速度の変化によるものでないならば、出力ということになります。
出力設定は、レーザー管の最大出力に対してパーセントで設定しますが、これが正しくないのではないか、という疑念が生じます。
100[%] の設定で100[W]出力されるならば、50[%]の設定の場合、50[W]の出力値が期待され、30[%]の設定のならば30[w]の出力値であると考えられますが、これが一致していないならば、加工設定で、出力と速度を等比で変更しても無意味であるということになります。

そこで、次に、本当に出力設定値[%]どおりにレーザー出力されるのかを確認します。




② 出力設定値を変更した場合のレーザー出力値



ある出力設定値[%]に設定した場合の、実際のレーザー出力値を、レーザー出力計を使用して測定します。

レーザー出力計を使用してレーザー出力値を測定する場合、測定値がばらつく場合が多々あります。一度計っただけでは精度の高い結果が得られません。
今回は各出力設定値において、3回以上の測定を行い、過度に高い、低い値は除外した上で、適正範囲内の測定値を平均したものです。
基本的には10%間隔で行っていますが、出力設定値の上端、下端あたりは詰めて測定しています。



結果

出力設定値とレーザー出力実測値は下表通りです。




表だとわかりづらいのでグラフにします。





目に付く点を列挙します。


直線ではありません。従って、設定値のパーセントは、実際の出力値とは一致しない、ということになります。

測定の最高値は118.4[W]でした。設定値が100[%]の時に最高値に達すると考えるならば、下図赤線のようにならなければ、設定値のパーセントは、実際の出力値とは一致していないといえます。







設定値が12以下の時、レーザーは出力されません
設定値が12[%]以下の場合、レーザー出力はゼロです。水冷レーザー管はレーザー管の個体差はありますが、設定値を10[%]前後よりも下の値にすると、レーザー出力されません。これは、正常動作です。設定値が12[%]以下の場合に測定値がゼロであっても問題ではありません。


設定が90[%]以上になると、傾きが曖昧になり、出力がばらつきます
設定値が90[%]以上になると、出力がばらついて、増減の制御もできません。設定値がフル出力の100[%]の場合、90[%]よりもレーザー出力値が低くなってしまいます。




中間域は、3種類の傾きが異なる直線になります
おおよそ、「20以下」、「20~40」、「40以上」の三つの領域に分けられます。






結論としては、目に付く点は複数あるものの、直線ではなく、「設定値のパーセントは、実際の出力値とは一致しない」ということになります。

従って、「① 速度と出力を等比で変更した場合の彫り上がり確認」で深さが異なった原因が、実際の出力値と一致していないために発生したのではないか、と考えられます。




③ 出力値ベースの等比速度での深さ比較

 

次に出力値ベースで、速度と等比にして、深さを比較してみます。

結果の表を見ると、出力設定値が30[%]の時、測定したレーザー出力値は58.7[W]です。
そして、出力設定値が95[%]の時、測定したレーザー出力値は117.6[W]となっており、30[%]の時のほぼ2倍の出力になっています。
そこで、出力設定値が30[%]の時の加工速度を2倍にした場合、95[%]の時の深さを比較してみます。

30[%]の時の加工速度は100[mm/s]、95[%]は200[mm/s]で10mm角のデータをアクリル板に彫刻してみます。走査間隔は0.025[mm]




予想では、このスピードと実際のレーザー主力は等倍になっているので、彫りの深さは同一になると思われます。



結果

ほぼ同じ深さになりました。



※写真では①の方が若干深く感じますが、彫った面がざらついているため、そのように見えます。実際は、ほぼ同じ深さです。



まとめ

「深さは同じでいいので、加工時間を短くするために、よりハイパワーのレーザーのレーザー加工機へのリプレイスは有効か」という問いの答えは、「有効です」となります。

従って、定格のレーザー出力が2倍のレーザー加工機にリプレイスすれば、加工時間は半分にできます。


ただし、前記事で説明したように、厚い板厚の切断や、彫りが深い彫刻は、焦点距離の問題により、加工時間が半分にはならない場合があります。焦点距離の影響がさほどない3mm程度の深さの加工ならば、レーザーパワーを大きくすれば、比例して加工時間を短縮できます。


速度設定と出力設定は等比ではないため、異なる機体間で、レーザーの定格出力の比をもとにして加工設定値を単純に換算するだけでは、同じ仕上がりにはならない可能性が高いです。

どの機体も、程度の差はあれ、出力設定値のパーセントと実際のレーザー出力値は一致していません。レーザー管とレーザー電源の個体差・経年変化により、設定と実際の出力の乖離幅は機体により異なります。

機体ごとに、試し彫りを行うなどして、実際の仕上がりを確認しながら、加工設定を決める必要があります。



 「レーザーパワーと加工品質の関係について  その③」はへ続きます。















レーザーパワーと加工品質の関係について  その①

株式会社リンシュンドウのスタッフの岡本です。
今回はサンプル加工ではなく、加工の仕上がり調査をしたいと思います。


お客様からよく、次のような質問を受けます。
「加工設定のスピードを2倍にした場合、出力も2倍にすれば仕上がりは同じことですか?」
というような内容です。
たとえば、スピードが100[mm/s]、出力が50[%] の加工設定で彫刻加工して要求品質を満たした場合、スピードを200[mm/s]に速めれぱ、出力を等比(2倍)で100[%]に変更すれば、同じ仕上がりが得られ、加工時間が短くなるのではないか、ということになります。

これは言い換えれば、レーザー加工において、「出力値と彫りの深さは正比例する」、「加工スピードと彫りの深さは反比例する」という直感的な計算式が成り立ちますか? という問いです。

理論的に考えれば、上記が常に成り立つならば、加工時の出力は最高値に固定しておいて、スピードだけで加工設定を調整すれば良い、ということになってしまいます。

今回のブログでは、いくつかの実験を通して、上記問いを確認してみます。




① アクリル板へのレーザー照射比較


厚いアクリル板に条件を変えて、レーザー照射を行い、深さを確認してみます。

・レーザー照射の条件は、機体操作パネルの「MENU」-「LASER SET」で、レーザーの照射時間とパワーを設定して行います。そして操作パネルのLaser」ボタンを一度だけ押してレーザーを照射し、アクリルをどの程度の深さまでレーザーが届くかを確認します。
貫通してしまっては比較ができないので、貫通しないように照射時間は0.5 秒と1秒で比較します。






・経験上、消炎エアー照射の有無によって加工の深さが変化することがわかっていますが、これも同時に確認するために、同条件の設定で、エアーON/OFFにより、どの程度差があるかを確認してみます(今回の確認の本質とは異なります)。照射時間とレーザーパワー以外の条件を変更することにより、傾向が明確になると思います。





テストに使用するは、RSD-SUNMAX-LT6040MPC-40W です。かなり使い込んでいるので、多少レーザー出力は規格値よりも落ちていると思いますが、正常稼働・無改造の機体です。


この比較は、切断加工時に、、「出力値と彫りの深さは比例する」と「加工スピードと彫りの深さは反比例する」が成り立つかどうかの確認行うことと同義です。

※ 焦点位置は、加工素材表面に調整しています。




結果






基準は①および④の「照射時間 1秒 ・ レーザー出力 100% 」とします。


・レーザー出力を半分にした場合、深さは半分よりも深くなる
・照射時間を半分にした場合は、深さは半分よりも深くなる

・消炎エアーをON/OFFに関わらず、レーザー出力値の変化・照射時間の変化の傾向は同一。
・消炎エアーをONにした方が深くなる。
 (大きな差ではありませんが、エアーON時に適切な加工設定で切断できていたものが、OFFにすると切断できなくなるという現象の理由です。加工設定を変更(出力を上げる、スピードを下げる)すれば、切断できるようになります)



考察

結果として、明確に、出力設定や照射時間と深さの関係は等比ではないことがわかりました。
しかしこれは、レーザー管から照射されるレーザー光そのものを言い表したものではありません。実際には、レーザー管から照射されるレーザー光は、光路をたどり、レーザーヘッドから照射され、結果的に加工素材に対して作用を及ぼすものであって、上記結果は加工素材の変化を見たものです。

加工素材の変化は、レーザー管からのレーザー出力だけではない、以下のような要因に大きな影響を受けます。
・光路、反射鏡・レンズの状態
・焦点距離
・消炎エアー
・そしてもちろん加工素材

レーザー加工を行う場合、現実的にはレーザー管の照射の具合は関係なく、加工素材の変化がすべてです。
今回の実験では、一つの機体、状態で行っているため、光路、反射鏡・レンズの状態変化はありません。加工素材も同一です。消炎エアーについては、ON/OFFそれぞれ行い、比較した結果、差が生じるものの、傾向は同一です。

「出力設定や照射時間と深さの関係は等比ではない」原因は、焦点距離にあります。
今回の実験で発生する「等比ではない」原因は、彫りが深くなるほど適切な焦点距離から離れてしまうため、加工素材への作用が弱まる、ということです。

次に焦点距離が離れてしまうことにより、彫りの深さがどのように変化するのか確認します。



② 焦点距離が離れたときの彫りの深さの比較



厚いアクリル板にレーザー出力を100%固定で、照射時間をを変えて照射を行い、深さを確認してみます。
使用した機体、機体コンディションは、①のテストと同一です。



結果





LASER TIMEのスパンは均等ではありませんので、傾向がわかりづらいと思います。
結果をグラフにしてみるとよくわかります。



横軸がレーザー照射時間で、右に行くほど、長時間照射しているということになります。
縦軸が彫りの深さです。

グラフは直線ではありません。レーザー照射時間を長くするほど、彫りの深さの変化が小さくなります。
つまり、焦点距離が離れるほど(深くなるほど)、レーザーの照射量ほど彫れなくなる、ということです。

もし、焦点距離から離れてしまっても、レーザー照射量に比例して彫りの深さが変化するのならば、下図の赤線のように、直線的になるはずです。



この結果から、焦点距離から離れていくことにより、たとえレーザーパワーを上げても等比で彫りが深くなるわけではない、という結論となります。
テストでは5000msまでしかやっていませんが、このままレーザー照射時間を延ばしていっても、いずれはこれ以上は彫れないという深さに達して、深さが変化しなくなります。



まとめ
今回のテストで、レーザーパワーと彫りの深さが、比例関係ではないことがわかりました。
「出力値と彫りの深さは比例する」と「加工スピードと彫りの深さは反比例する」は、常に成り立つわけではないのです。



 「レーザーパワーと加工品質の関係について  その②」へ続きます。














風景写真 その4

株式会社リンシュンドウのスタッフの岡本です。
風景写真 その3」の続きです。

今回は、「風景写真 その3」でうまくできなかった、「参考資料 風景写真の加工」の方法でデータを作成した場合の改善を行います。

網化の方法は「参考資料 風景写真の加工」と同じ方法で行います。
従って、元の画像データを加工します。

もともとの写真を加工した結果の画像は、諸般の事情により掲載しません。



Photoshopを使用して、以下の加工を行いました。

・ 顔の肌の色を薄くする。
・ スーツのコントラストを上げる。

ちなみに顔やスーツは選択ツールで輪郭をとって色調補正をかけています。



レーザー加工用にモノクロビットマップ化したデータは下記のようになります。

① 「風景写真 その3」で加工を行ったデータ





② もと画像を修正して作成した加工データ




※ もと画像の変更は顔とスーツだけですが、「参考資料 風景写真の加工」の処理の過程で、画像全体の色調補正を行うため、他の部分の色調も変化しています。



そして加工結果が下の写真です。

・結果写真は無加工です。
・写真をクリックすると原寸写真が開きます。
・加工サイズは幅100mm、高さ136mmです。






アクリル板に写真彫刻したものは、うまく撮影できません。実物は、写真の印象よりも、より写真に近い感じになっています。

何とか実際の見た目と同じようになるように撮った写真が下の画像です。窓際から空を背景にして撮っています。背景が映り込んでしまっていますが、もとの写真に近いことがわかります。








これで写真のイメージにに近づきました。



Photoshopを使用して、レーザー加工に適した画像内容に修正できれば、クオリティの高い写真彫刻が可能です。

しかし「どのように加工データを作成すれば良いか」という問いの明快な答えはまだ見つかっていません。写真の内容は千差万別であるため、何度も試行し経験を積むことにより、適切なデータを作成するための時間がかなり短縮されるはずです。

どのような内容の写真であっても試行することなく、一発で加工が成功する方法論はまだ見つかっていません・・・。

とりあえず現状では、人物写真は従来の網化方法で、風景写真は「参考資料 風景写真の加工」のやり方で加工する、という大ざっぱな切り分けでしかありません。







風景写真 その3

株式会社リンシュンドウのスタッフの岡本です。
風景写真 その2」の続きです。

今回は、「風景写真 その2」でわかった、「加工結果の階調表現がうまくできていないのに、より写真に近く見える」件について検討します。

今回使用するのは、風景写真とは異なり、人物画像です。オバマ大統領の公式写真を使用して加工してみます。



誰もが顔を知っている人物であり、また背景がシンプルな場合、写真彫刻はかなり容易にできます。加工設定が多少ずれていたとしても、それなりのものが仕上がります。




結果写真
・結果写真は無加工です。
・写真をクリックすると原寸写真が開きます。
・木板のため木目や傷などの影響があり、色が場所によって違っています。





左側が、従来の画像の網化の方法でデータを作成し加工したものです。
右側が、「参考資料 風景写真の加工」の方法でデータを作成し、加工しています。

原寸写真で比較するとよく分かりますが、国旗、スーツの襟、ネクタイなどのディテールは、右側の方が階調表現に優れ、明らかに良く表現されています。

・・・しかし全体の印象は、左側の方がより写真に近く見えますね! 
顔の印象がかなり違います。左側は目鼻立ちがしっかりしていて、オバマ大統領であることは一目瞭然です。
対して右側は、肌全体に色が乗っていて、顔のパーツが曖昧になっています。目力が伝わらず、オバマ大統領であることすら疑わしい仕上がりです。

レーザー加工の表現力の観点から見れば、右側の方が優れていますが、加工結果・加工品質で考えれば、明らかに左側が勝っています。
「オバマ大統領の人物写真のレーザー加工」としては、右側は失敗だ、ということになります。




アクリルでも同じ比較をしてみます。加工設定は上の木板とあえて同一設定にします。



※ アクリル板に写真彫刻したものは、うまく撮影できません。実物は、上の写真の印象よりも、より写真に近い感じになっています。


左側の従来の画像の網化の場合、ネクタイのした彫られていません。しかしスーツの襟は潰れてしまっていて見分けが付きません。
対して右側の、「参考資料 風景写真の加工」の方法でデータを作成したものは、ネクタイもちゃんと彫れていますし、スーツの襟も完全ではないですが、判別可能になっています。

しかしアクリル板でも、顔はやはり左側の方が良いです。右側はのっぺらぼうに近い状態で、表情が判別できません。



風景写真 その4」に続きます


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