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レーザーパワーと加工品質の関係について  その①

株式会社リンシュンドウのスタッフの岡本です。
今回はサンプル加工ではなく、加工の仕上がり調査をしたいと思います。


お客様からよく、次のような質問を受けます。
「加工設定のスピードを2倍にした場合、出力も2倍にすれば仕上がりは同じことですか?」
というような内容です。
たとえば、スピードが100[mm/s]、出力が50[%] の加工設定で彫刻加工して要求品質を満たした場合、スピードを200[mm/s]に速めれぱ、出力を等比(2倍)で100[%]に変更すれば、同じ仕上がりが得られ、加工時間が短くなるのではないか、ということになります。

これは言い換えれば、レーザー加工において、「出力値と彫りの深さは正比例する」、「加工スピードと彫りの深さは反比例する」という直感的な計算式が成り立ちますか? という問いです。

理論的に考えれば、上記が常に成り立つならば、加工時の出力は最高値に固定しておいて、スピードだけで加工設定を調整すれば良い、ということになってしまいます。

今回のブログでは、いくつかの実験を通して、上記問いを確認してみます。




① アクリル板へのレーザー照射比較


厚いアクリル板に条件を変えて、レーザー照射を行い、深さを確認してみます。

・レーザー照射の条件は、機体操作パネルの「MENU」-「LASER SET」で、レーザーの照射時間とパワーを設定して行います。そして操作パネルのLaser」ボタンを一度だけ押してレーザーを照射し、アクリルをどの程度の深さまでレーザーが届くかを確認します。
貫通してしまっては比較ができないので、貫通しないように照射時間は0.5 秒と1秒で比較します。






・経験上、消炎エアー照射の有無によって加工の深さが変化することがわかっていますが、これも同時に確認するために、同条件の設定で、エアーON/OFFにより、どの程度差があるかを確認してみます(今回の確認の本質とは異なります)。照射時間とレーザーパワー以外の条件を変更することにより、傾向が明確になると思います。





テストに使用するは、RSD-SUNMAX-LT6040MPC-40W です。かなり使い込んでいるので、多少レーザー出力は規格値よりも落ちていると思いますが、正常稼働・無改造の機体です。


この比較は、切断加工時に、、「出力値と彫りの深さは比例する」と「加工スピードと彫りの深さは反比例する」が成り立つかどうかの確認行うことと同義です。

※ 焦点位置は、加工素材表面に調整しています。




結果






基準は①および④の「照射時間 1秒 ・ レーザー出力 100% 」とします。


・レーザー出力を半分にした場合、深さは半分よりも深くなる
・照射時間を半分にした場合は、深さは半分よりも深くなる

・消炎エアーをON/OFFに関わらず、レーザー出力値の変化・照射時間の変化の傾向は同一。
・消炎エアーをONにした方が深くなる。
 (大きな差ではありませんが、エアーON時に適切な加工設定で切断できていたものが、OFFにすると切断できなくなるという現象の理由です。加工設定を変更(出力を上げる、スピードを下げる)すれば、切断できるようになります)



考察

結果として、明確に、出力設定や照射時間と深さの関係は等比ではないことがわかりました。
しかしこれは、レーザー管から照射されるレーザー光そのものを言い表したものではありません。実際には、レーザー管から照射されるレーザー光は、光路をたどり、レーザーヘッドから照射され、結果的に加工素材に対して作用を及ぼすものであって、上記結果は加工素材の変化を見たものです。

加工素材の変化は、レーザー管からのレーザー出力だけではない、以下のような要因に大きな影響を受けます。
・光路、反射鏡・レンズの状態
・焦点距離
・消炎エアー
・そしてもちろん加工素材

レーザー加工を行う場合、現実的にはレーザー管の照射の具合は関係なく、加工素材の変化がすべてです。
今回の実験では、一つの機体、状態で行っているため、光路、反射鏡・レンズの状態変化はありません。加工素材も同一です。消炎エアーについては、ON/OFFそれぞれ行い、比較した結果、差が生じるものの、傾向は同一です。

「出力設定や照射時間と深さの関係は等比ではない」原因は、焦点距離にあります。
今回の実験で発生する「等比ではない」原因は、彫りが深くなるほど適切な焦点距離から離れてしまうため、加工素材への作用が弱まる、ということです。

次に焦点距離が離れてしまうことにより、彫りの深さがどのように変化するのか確認します。



② 焦点距離が離れたときの彫りの深さの比較



厚いアクリル板にレーザー出力を100%固定で、照射時間をを変えて照射を行い、深さを確認してみます。
使用した機体、機体コンディションは、①のテストと同一です。



結果





LASER TIMEのスパンは均等ではありませんので、傾向がわかりづらいと思います。
結果をグラフにしてみるとよくわかります。



横軸がレーザー照射時間で、右に行くほど、長時間照射しているということになります。
縦軸が彫りの深さです。

グラフは直線ではありません。レーザー照射時間を長くするほど、彫りの深さの変化が小さくなります。
つまり、焦点距離が離れるほど(深くなるほど)、レーザーの照射量ほど彫れなくなる、ということです。

もし、焦点距離から離れてしまっても、レーザー照射量に比例して彫りの深さが変化するのならば、下図の赤線のように、直線的になるはずです。



この結果から、焦点距離から離れていくことにより、たとえレーザーパワーを上げても等比で彫りが深くなるわけではない、という結論となります。
テストでは5000msまでしかやっていませんが、このままレーザー照射時間を延ばしていっても、いずれはこれ以上は彫れないという深さに達して、深さが変化しなくなります。



まとめ
今回のテストで、レーザーパワーと彫りの深さが、比例関係ではないことがわかりました。
「出力値と彫りの深さは比例する」と「加工スピードと彫りの深さは反比例する」は、常に成り立つわけではないのです。



 「レーザーパワーと加工品質の関係について  その②」へ続きます。














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