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レーザーパワーと加工品質の関係について  その②

株式会社リンシュンドウのスタッフの岡本です
前回の「レーザーパワーと加工品質の関係について  その①」の続きです。

前回のテストでは、たとえレーザー出力を上げていっても、焦点距離の影響によって、どこまでも彫りが深くなるわけではない、ということがわかりました。
これは、たとえば、2倍のレーザー出力の機種にリプレイスしたからといって、今までの2倍の厚みの加工素材が(同じ速度で)切断できるようになるわけではない、ということを示しています(速度を下げれば、加工できると思います)。


それでは次に、深さは同じでいいので、加工時間を短くするために、よりハイパワーのレーザーのレーザー加工機へのリプレイスは有効か、ということを検討します。

つまり、出力と加工速度をともに n倍にしたとき、彫りの深さは同じか? という問いと同義となります。

たとえば、40W 定格のレーザー加工機を使用して、出力90[%]、スピード100[mm/s]の設定で適切な加工結果が得られていたとき、80W定格のレーザー加工機に変更すれば、出力90[%]、スピード200[mm/s] (既存機の2倍の速度)で加工し、加工時間を短くすることができるか、という意味になります。

本ブログでは、1台の機体で出力を変更して、上記の問いを確認します。複数のレーザー出力の異なるレーザー加工機を比較した場合、機体、反射鏡、レンズ、そしてレーザー管のコンディションにより、レーザーパワー以外の条件が加わり、正しい比較ができない可能性があります。そのため、1台のレーザー加工機でレーザー出力と加工速度の関連性を確認します。

使用する機体はGS1490-130Wです(130W機は、標準機としてはラインナップされていません)。
弊社にて様々な用途に日々使用している機体です。レーザー管は2012年製でかなり古いものです。



① 速度と出力を等比で変更した場合の彫り上がり確認



下記のように等比で速度と出力を変更して彫刻加工をした場合の彫りの深さを確認します。
彫刻するのは、10mm角の四角形です。素材はアクリル板、走査間隔は0.025[mm]で統一しています。
変更点は、加工設定の速度と出力のみです。



出力と加工速度をともに n倍にしたとき、彫りの深さが同じであれば、彫刻したものは同一物になります。




結果

加工直後




水洗い後




速度と出力の設定を等比で変化させた場合、同じ深さにはなりません。



考察

「速度と出力の設定を等比で変化させた場合、同じ深さにはならない」という結果について、その理由を確認します。

理論的に考えれば、速度と出力を等比で変更した場合、同じ深さになるはずです。

まず、加工速度の変化によって、エアーの当たり具合が変化して深さが変わった、という推察ができます。確かに経験上、エアーの当たり具合で彫りが変化することはありますが、それにしては深さの変化量が大きすぎます。
エアーが原因ならば、このテストがいったい何を確認するためにやっているのかわからなくなってしまいます。

この三つの四角形の深さの違いの理由が速度の変化によるものでないならば、出力ということになります。
出力設定は、レーザー管の最大出力に対してパーセントで設定しますが、これが正しくないのではないか、という疑念が生じます。
100[%] の設定で100[W]出力されるならば、50[%]の設定の場合、50[W]の出力値が期待され、30[%]の設定のならば30[w]の出力値であると考えられますが、これが一致していないならば、加工設定で、出力と速度を等比で変更しても無意味であるということになります。

そこで、次に、本当に出力設定値[%]どおりにレーザー出力されるのかを確認します。




② 出力設定値を変更した場合のレーザー出力値



ある出力設定値[%]に設定した場合の、実際のレーザー出力値を、レーザー出力計を使用して測定します。

レーザー出力計を使用してレーザー出力値を測定する場合、測定値がばらつく場合が多々あります。一度計っただけでは精度の高い結果が得られません。
今回は各出力設定値において、3回以上の測定を行い、過度に高い、低い値は除外した上で、適正範囲内の測定値を平均したものです。
基本的には10%間隔で行っていますが、出力設定値の上端、下端あたりは詰めて測定しています。



結果

出力設定値とレーザー出力実測値は下表通りです。




表だとわかりづらいのでグラフにします。





目に付く点を列挙します。


直線ではありません。従って、設定値のパーセントは、実際の出力値とは一致しない、ということになります。

測定の最高値は118.4[W]でした。設定値が100[%]の時に最高値に達すると考えるならば、下図赤線のようにならなければ、設定値のパーセントは、実際の出力値とは一致していないといえます。







設定値が12以下の時、レーザーは出力されません
設定値が12[%]以下の場合、レーザー出力はゼロです。水冷レーザー管はレーザー管の個体差はありますが、設定値を10[%]前後よりも下の値にすると、レーザー出力されません。これは、正常動作です。設定値が12[%]以下の場合に測定値がゼロであっても問題ではありません。


設定が90[%]以上になると、傾きが曖昧になり、出力がばらつきます
設定値が90[%]以上になると、出力がばらついて、増減の制御もできません。設定値がフル出力の100[%]の場合、90[%]よりもレーザー出力値が低くなってしまいます。




中間域は、3種類の傾きが異なる直線になります
おおよそ、「20以下」、「20~40」、「40以上」の三つの領域に分けられます。






結論としては、目に付く点は複数あるものの、直線ではなく、「設定値のパーセントは、実際の出力値とは一致しない」ということになります。

従って、「① 速度と出力を等比で変更した場合の彫り上がり確認」で深さが異なった原因が、実際の出力値と一致していないために発生したのではないか、と考えられます。




③ 出力値ベースの等比速度での深さ比較

 

次に出力値ベースで、速度と等比にして、深さを比較してみます。

結果の表を見ると、出力設定値が30[%]の時、測定したレーザー出力値は58.7[W]です。
そして、出力設定値が95[%]の時、測定したレーザー出力値は117.6[W]となっており、30[%]の時のほぼ2倍の出力になっています。
そこで、出力設定値が30[%]の時の加工速度を2倍にした場合、95[%]の時の深さを比較してみます。

30[%]の時の加工速度は100[mm/s]、95[%]は200[mm/s]で10mm角のデータをアクリル板に彫刻してみます。走査間隔は0.025[mm]




予想では、このスピードと実際のレーザー主力は等倍になっているので、彫りの深さは同一になると思われます。



結果

ほぼ同じ深さになりました。



※写真では①の方が若干深く感じますが、彫った面がざらついているため、そのように見えます。実際は、ほぼ同じ深さです。



まとめ

「深さは同じでいいので、加工時間を短くするために、よりハイパワーのレーザーのレーザー加工機へのリプレイスは有効か」という問いの答えは、「有効です」となります。

従って、定格のレーザー出力が2倍のレーザー加工機にリプレイスすれば、加工時間は半分にできます。


ただし、前記事で説明したように、厚い板厚の切断や、彫りが深い彫刻は、焦点距離の問題により、加工時間が半分にはならない場合があります。焦点距離の影響がさほどない3mm程度の深さの加工ならば、レーザーパワーを大きくすれば、比例して加工時間を短縮できます。


速度設定と出力設定は等比ではないため、異なる機体間で、レーザーの定格出力の比をもとにして加工設定値を単純に換算するだけでは、同じ仕上がりにはならない可能性が高いです。

どの機体も、程度の差はあれ、出力設定値のパーセントと実際のレーザー出力値は一致していません。レーザー管とレーザー電源の個体差・経年変化により、設定と実際の出力の乖離幅は機体により異なります。

機体ごとに、試し彫りを行うなどして、実際の仕上がりを確認しながら、加工設定を決める必要があります。



 「レーザーパワーと加工品質の関係について  その③」はへ続きます。















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